音楽に触れていると耳にする「転調」。
大体の人が「音が高くなった」、「キーが変わった」などなんとなくのイメージはあると思います。
実際そもそも「キー」「転調」とはどういう意味なのか全く知識のない方にもわかりやすく
基礎から順番に説明していきます。
キー(調)とは?
まず「キー(調)」について説明します。
「キー」は音楽理論において、音楽のスケール、音階、コード進行を指定するのに使います。
例)C(シーメジャーキー)・Am(エーマイナーキー)など。
例えば、音楽の中で「ド」からはじまる「ドレミファソラシ(ド)」の7音が主に使われる場合キーが「Cメジャーキー」になります。
なので「この曲はCメジャーキーだ!」となったら基本的にこの7音しか使いません。
※基本的なので違う場合もあります。
この7音の集まりを「スケール」と言います。(最後の「ド」は同じ音なので数えてません。)
「ド#」から始まる「ド#レ#ミファ#ソ#ラ#シ(ド#)」の7音は「C#メジャーキー」と言い
「レ」から始まる「レミファ#ソラシド#(レ)」の7音は「Bメジャーキー」というように
これが「シ」から始まるまでの12パターンあり、マイナーキーにも12パターンあります。
このパターンのどれを使っているかを示すものを「キー(調)」と言います。
どの音がキーとなっても、スケールという枠組みさえ維持していれば同じようにまとまりを感じるようにできます。
キーには明るく・陽気な響きを持つメジャーキー(メジャースケール)と、暗く・哀愁や感傷的な響きを持つマイナーキー(マイナースケール)があります。
メジャーやマイナーについては以下の記事で説明していますのでご覧下さい。
スケールについて詳しくはこちら。
調の種類
1つの曲はおおよそ1つの調を基本として構成されており、基準となる調は主調と呼ばれています。
1つの調はには強く関係を持つ調が複数存在し、以下の通りです。
主調Cのときの関係調
属調 Gメジャー 下属調 Fメジャー
平行調 Aマイナー 属調平行調 Eマイナー
下属調平行調 Dマイナー 同主調 Cマイナー
例えばキーがCメジャーであるとき、主調はCメジャーとなります。
5番目の音「G(ソ)」を中心としたメジャースケールが使用されるキーを属調といいます。
4番目の音「F(ファ)」を中心としたメジャースケールが使用されるキーを下属調といいます。
6番目の音「A(ラ)」を中心としたマイナーキー、または「E(ミ)」を中心としたメジャーキーを平行調といいます。
平行調の簡単な見つけかたは「主調から3音上がる・または下がる」です。
メジャーなら3音下げたマイナーキーと3音上げたメジャーキー
マイナーなら3音上げたメジャーキーと3音下げたマイナーキーです。
平行調は主調と同じ音を持つスケールで成り立ちます。
また、平行調はGメジャー・Fメジャーにも存在し
Gメジャーの平行調→Eマイナー(属調平行調)
Fメジャーの平行調→Dマイナー(下属調平行調)
主調のCメジャースケールと同じ「C(ド)」を中心としたCマイナースケールを同主調といいます。
これら6つは全て馴染みがあり関係があるため、関係調といいます。
転調とは
「キー(調)について説明したところで本題の転調について解説していきます。
転調とは曲の途中で「キー(調)」の中心音と、中心音に基づく音のスケールを変えることです。
例 曲のイントロ:Cメジャーキー「ドレミファソラシ(ド)」を使用
最後のサビ:Gメジャー「ソラシドレミファ#(ソ)」を使用
上のようにキー(調)が変わることを転調といいます。
他にも
例2 曲のイントロ:Cメジャーキー「ドレミファソラシ(ド)」を使用
曲の中盤:Cマイナーキー「ドレミ♭ファソラ♭シ♭(ド)」を使用
というようにマイナーキーに変わることも「転調」と言います。
転調には多くのパターンがあるため、自然かつオリジナリティがでるようにすると曲の表現が豊かになり作曲の幅がかなり上がります。
転調の種類
転調には一時的な転調と本格的な転調があります。
一時的な転調は曲中の一部を他の調にして演奏するもので、主にBメロに使われています。
一時的な転調は元に戻すことを考慮しなければならないので、、聞き手に違和感を与えないよう関係調を使うことが多いです。
本格的な転調は、調が戻らないまたは、転調後に多くの時間を使う場合ののことをいい、色んな種類の転調が使用されます。
転調後のコードは転調前とあることが多いです。
転調の方法
転調の方法は様々で、一般的な転調の方法をいくつか紹介します。
1・関係調の転調 : 同じ音名を持つ主要キーとマイナーキーの組み合わせを利用します。
例 Cメジャー → Aマイナー
2・隣接調の転調 : 隣接するキーへの転調です。
例 Cメジャーキー → Gメジャーキー
3・ピポットコードの転調 : 転調の前後の調に共通するコードをピポットコードといいます。
例 Gメジャー → Bm → Aメジャー
「Bm」は「Gメジャー」と「Aメジャー」のダイアトニックコードとしてあるので、「Bm」がピポットコードとなります。
4・コモントーンモジュレーションの転調 : 前後の音が同じメロディで一部分を転調に使うことを、コモントーンモジュレーションといいます。
例 転調前 Bメロ(Gm)= サビ(Gm)
転調後 Bメロ(Gm)= サビ(Gm#)
このように転調させる前が同じ音である場合、転調をより強調することができます。
移調について
最後に転調と移調の違いについて説明します。
移調とは曲全体の調を別の調に変えることで、楽譜や音楽を一定の音程だけ上げたり下げたりすることを指します。転調の違いで一番大きい部分は、調を変化させる範囲が違うということです。
転調は楽曲の一部または途中から別の調に変化させ曲の進行や和音構造を変化させます。
例えば、曲の最後の大サビだけががキーがあがることがありますが、このように途中で音の高さが変化するのが転調です。
一方、カラオケで自分の歌う範囲にキーを上げ下げと変化させるのが移調です。
さてここまで「転調」について簡単に説明してきましたが理解できましたでしょうか?
「移調」との違いを理解し普段音楽を聴いたりカラオケなどにいっている時にふとこの記事の事を思い出していただけたら嬉しいです。